子どもの権利擁護委員会と相談窓口の詳細を問う ― 飯田尚人議員の質疑から(桑名市議会 令和8年6月定例会)

公開日: 2026/7/23

この記事のポイント(3行要約)

  • 子どもの権利擁護委員会は弁護士・福祉・教育の3名で構成され、11月に初回会議を開催する予定。
  • 開催回数は年4回を見込むが、申し立てが増えれば予算を超えても追加対応することを市が明言した。
  • 相談窓口は18歳未満の子どもが対象で、ハード面(施設設備)の相談も含めて幅広く受け付ける。

何が議論されたのか

無会派の飯田尚人議員(20番)は、6月定例会の議案質疑で桑名市子どもの権利条例に基づく2つの制度——子どもの権利擁護委員会と子どもの権利相談窓口——について、設置後の具体的な運用イメージに踏み込んだ質疑を行った。

飯田議員が強調したのは、子どもの相談は「定型化したものではなく、大人が想像していないような問題が出てくる」という現実への備えだ。少数体制の委員会で本当にその多様性に対応できるのかという視点から、設置の詳細を問い質した。


論点・各議員と市の立場

擁護委員会の委員に求められる資質

飯田議員は、委員には法的知識・常識・子どもの立場への理解など多方面の知見が必要だと訴えた上で、「いじめる側といじめられる側、さらにそれを見る側の視点も含め、粘り強く何度でも話し合える人物」が求められると主張した。

市民環境部長(山下祐生)の答弁は「子どもの権利について識見のある方を基本とし、弁護士・福祉関係者・教育関係者の専門性を有する方」を任命する方針。選定にあたっては「子どもの最善の利益の観点から中立・公正に判断できること」を条件とし、各所属団体への相談を経て進めるとした。

市の施策を所管する部署(こども未来部・教育委員会など)への所属者は選ばないという独立性の確保も改めて確認された。

委員の定数:なぜ3名なのか

3名という定数の根拠について市は「法務・福祉・教育の各分野から異なる専門的な意見を得られ、かつ迅速に調査・調整・判断ができる体制として適切」と説明した。

少数体制への懸念に対しては、開催要件を申し立てに応じた都度開催とすることで、対応の柔軟性を確保するとした。

開催要件と回数:予算を超えても子どもを守る

委員会は原則として「申し立てを受理したとき」「対応の必要が生じたとき」に開催される。

今年度の開催回数は11月の初回を含め4回を見込む。初回は新設の相談窓口に限らず、条例の目的達成に向けた広い意見交換の場にする予定だという。

飯田議員が「4回を超えたらどうするのか」と問うと、市は「予算を理由に救済が先送りになることがないよう、予算の追加をお願いする場合も否定できない」と明言した。子どもの権利侵害への対応を優先するという姿勢が示された答弁だ。

相談窓口の対象範囲:ソフトもハードも受け付ける

相談窓口が取り扱う相談内容については「いじめ・不登校・家庭問題・友人関係・進路・心身の不調・学校や家庭では相談しづらいことなど幅広く」受け付けるとされた。

対象者は桑名市在住または市内の学校・施設に通う18歳未満の子ども。ただし「18歳を過ぎても切れ目のない支援が必要な場合は年齢だけで機械的に区切らず、柔軟に対応する」とも答えた。保護者や家族、学校関係者、知人・近隣住民からの相談も受け付ける。

飯田議員がユニークな切り口で追加質問したのが「ハード面(施設設備)の相談も受け付けるのか」という点だ。具体例として「学校のトイレが和式ばかりで洋式が少ない、増やしてほしい」というような相談を想定した質問だった。

市の答弁は「ソフトかハードかで区別せず、まずは丁寧にお話を聞く。必要に応じて関係部署に伝える」という方針で、設備改善の要望であっても門前払いにはしないとした。

所管外窓口への相談はどう扱うか

「どこに相談すればいいか分からない」という状況へも、市は対応を示した。既存の窓口も含め「子どもに関わる相談であれば、まずは受け止めて丁寧に聞く」という姿勢を全庁的に統一する方針だ。


桑名市民への影響

子どもの権利相談窓口が12月にメディアライブ2階に開設されれば、市内の子どもが気軽に立ち寄れる相談の場が1つ増えることになる。いじめや家庭の悩みだけでなく、施設への要望といった身近な不満も受け付けるという幅広い姿勢は、子どもが「政治参加」や「声を上げること」を学ぶ場としても機能する可能性がある。

擁護委員会が予算超過でも活動を続けると明言したことは、設置後の運用の本気度を示す一方、実際にどこまで機能するかは活用実態に委ねられる。


これまでの経緯

桑名市子どもの権利条例は令和6年12月可決、令和7年4月施行。条例第23条が権利擁護委員会の設置を規定している。今回の補正予算で委員会の設置と相談窓口の開設に向けた予算が計上された。


出典・確認方法

本記事は桑名市議会インターネット映像配信の令和8年6月定例会(映像はこちら)を参考に、くわな会議が独自に要約・解説したものです。発言の正確な文言や詳細は、公式の会議録検索(公開後)でご確認いただけます。

本記事中の予算数字は以下の公式資料で照合済みです。