複合施設への移転で総合福祉会館は縮小? 面積・予算・機能維持を問う ― 多屋真美議員の質疑から(桑名市議会 令和8年6月定例会)
この記事のポイント(3行要約)
- 旧消防本部への複合施設整備費(約5億9千万円)の主な内訳は、施設改修工事費が約5億92万円、内装改修等の委託料が約7,518万円。
- 移転後の社協・福祉センター等の使用面積は現在の約2,800㎡から約1,800㎡と縮小する見込みだが、共用部が増えるため「単純な比較はできない」と市は説明。
- 市は「公共サービスの質は低下させない」と答弁したが、利用者団体への具体的な移転調整はまだ進行中。
何が議論されたのか
日本共産党桑名市議団の多屋真美議員(12番)は、旧消防本部への複合施設整備について「予算の内訳」「移転に伴う面積の変化」「総合福祉会館の機能が本当に維持されるのか」の3点を問いただした。
複合施設化とは行政が「効率化」と呼ぶ施策だが、見方によっては「縮小」にもなりうる。施設を日常的に使う市民の立場から、サービス水準が守られるかどうかを確認する質疑だった。
論点・各議員と市の立場
約6億円の内訳
統括官(松岡考幸)の答弁によると、予算5億8,968万2千円の内訳は以下のとおり。
区分 | 金額(概算) | |
施設改修工事費(空調更新・防水工事等) | 5億592万4千円 | |
内装改修等の委託料 | 7,518万3千円 | |
需用費・役務費・備品購入費等 | 857万5千円 |
改修の大半が建物の基幹設備(空調・防水等)の更新であることがわかる。これに感染症対策やユニバーサルデザイン対応のトイレ整備が加わっている(他の議員への答弁より)。
移転後の面積は縮小するのか
多屋議員が指摘した最大の懸念は面積の変化だ。現在の総合福祉会館は延床面積が約2,800㎡。移転後、社会福祉協議会事務所・老人福祉センター機能・身体障害者福祉センター機能・大会議室など使用機能に充てられる面積は、共用部分を加算しても約1,800㎡を見込むという(市の答弁)。
数字だけ見ると約1,000㎡(約35%)の縮小だ。ただし市は「旧消防本部は会議室や廊下などの共用部分が多く、単純な比較はできない」と説明した。複数の施設・団体がスペースをシェアリングする設計のため、専用面積は減っても共用でカバーできる部分があるというロジックだ。
利用者のサービスは守られるのか
多屋議員は、旧消防本部は現役の消防署(消防車が出動する)と共有の施設となることを指摘し、「落ち着いてカラオケや囲碁将棋などの活動ができるのか」「交通の不便さや他施設との共用で活動が縮小されないか」という利用者の不安を代弁した。
市の答弁は「提供する公共サービスの質を低下させないよう、利用者の方々が使用される部屋については、現在の施設利用状況を踏まえて社会福祉協議会と協議を重ねている」というものだった。駐車場については現在の10台から移転後は約50台に増える(ただし他の利用者との共用)。
再質疑はなかったものの、多屋議員は「利用者が一番心配している点であり、機能の確保と利便性への配慮が重要」と確認の言葉を述べて締めくくった。
桑名市民への影響
総合福祉会館は高齢者・障害者が日常的に集う拠点であり、移転による影響を最も受けるのも彼らだ。シェアリングという方式が「同じサービスを使いやすい形で受けられる」ことにつながるかどうかは、移転後の実態を見なければわからない。
駐車場が10台から50台に増える点は自家用車利用者には朗報だが、歩いて通っていた方や公共交通利用者にとっては移転先が遠くなることが課題として残る(詳細は近藤奈歩議員の質疑を参照)。
社協との調整がまだ完了していない現時点では、利用者団体が移転後に同じ活動を継続できるかどうかは確定していない。
これまでの経緯
総合福祉会館(常磐町のふれあい天元プラザ内)は設備の老朽化が進んでおり、特にエアコンが機能していない状態が続いているとの指摘が複数の議員から出ている。旧消防本部への複合化方針は令和8年4月の全員協議会で示され、今回の補正予算でその改修費が計上された。
出典・確認方法
本記事は桑名市議会インターネット映像配信の令和8年6月定例会(映像はこちら)を参考に、くわな会議が独自に要約・解説したものです。発言の正確な文言や詳細は、公式の会議録検索(公開後)でご確認いただけます。
本記事中の予算数字は以下の公式資料で照合済みです。
- 令和8年第2回定例会(議案・資料一覧) — 桑名市議会公式
- 令和8年度補正予算参考資料(第4号)PDF — 事業概要と金額
- 令和8年度一般会計補正予算書(第4号)PDF — 歳出明細(工事費・委託料等の内訳)
- 議案質疑通告表 PDF — 質疑議員名・質問項目
- 令和8年4月13日 全員協議会 事項書 PDF — 複合化方針の説明会
- 総合福祉会館 施設概要資料 PDF — 現在の延床面積「約2,800㎡」の根拠
- 桑名市総合福祉会館(桑名市公式) — 現在の駐車場台数「10台」の根拠